木質材料を主原料とするクッション材の開発
山
本幸雄
日田産業工芸試験所Development of Cushion made from Plants
Yukio YAMAMOTO
Hita Industrial Art Research Division
要
旨
粉末化した未利用地域資源の用途拡大を図るため,木粉及び粉砕したバークと水性アクリル系接着剤や水性酢酸エマルジョン系
接着剤,溶剤性ウレタン系接着剤を混合した木粉ブロックでクッション材を開発することを目標とし,成型したブロックの基礎的 なデータを収集した.その結果,へたり性について接着剤の種類や塗布量,スギ樹皮とスギ小片の割合とへたりの間に明確な関係 は見られなかった.
1.
はじめに
木質未利用地域資源を粉末化することのメリットに,資源を 100%活用し廃棄物の発生を抑え CO2を固定できることなどがあ
げられる.また粉末のサイズを揃えることによって品質( 形状) が均質化され,サイズに合った用途開発が可能になり,自由に 成形加工することが可能となる.
粉末化した未利用地域資源の用途拡大を図るため,木粉及び 粉砕したバークと水性アクリル系接着剤(コニシ FL200)や水 性酢酸エマルジョン系接着剤(コニシ ボンド 605),溶剤性ウ レタン系接着剤(コニシ KU822S)で木粉ブロックを成形し, クッション材を開発することを目標とし,成形したブロックの 基礎的なデータを収集した.
2.
実験
スギ間伐材および背板を粉砕処理し,0. 5 mm以下,0. 5mm∼1 mm 以下,1mm∼2 mm以下,2mm以上の 4 種類に分級し,このうちの 1mm∼2 mm以下の小片(以下,スギ小片と言う.)を用いた.ス ギ樹皮は,カッティングミル(フリッチュ社製 P- 15 ふるい の目 10mm)を用いて破砕した(以下,スギ樹皮と言う.以下, スギ小片とスギ樹皮をあわせて木質小片と言う.).
水性アクリル系接着剤と水性酢酸エマルジョン系接着剤は, 重量比で 100: 0(以下,配合 Aという.),75: 25(以下,配合 B という.),50: 50(以下,配合 Cという.),25: 75(以下,配合 D という.),0: 100(以下,配合 E という.)に配合し用いた.溶 剤性ウレタン系接着剤はそのまま用いた.スギ小片とスギ樹皮 は,重量比で 0: 100(以下,配合 1 という.),25: 75(以下,配 合 2 という.),50: 50(以下,配合 3 という.)に配合し用いた. 以下,配合Aと配合1の組み合わせをA1と言う.
接着剤の塗付量は,木質小片の重量に対し,50%,30%,10%に
なるようにした.また,接着剤はスプレーガンを用い塗付した. 接着剤を塗布したスギ小片は,直ちに,底面が 150mm×150mm の型に入れ成形した.成形後 1 日放置してから型をはずし,さ らに 1 日放置してから試験に供した.
2. 1 はく離試験
成形したブロックのはく離強度を調べるため,J I SA5908: 2003 パーティクルボードに準拠し試験を行った.
2. 1. 1 供試材料
成形したブロックから幅 50mm,長 50mmの試験片を切り出し供 試材とした.
2. 1. 2 はく離強度の測定
試験には,インストロン社製万能試験機モデル 5568,最大荷 重 50kNを用いた.引張荷重速度は 2mm/ mi n とした.はく離試験 ジグとブロックとの接着にはエポキシ樹脂接着剤を用いた.
2. 2 へたり性試験
成形したブロックのクッション性を調べるため,へたり試験 を行った.
2. 2. 1 供試材料
成形したブロックから幅 50mm,長 50mmの試験片を切り出し供 試材とした.
2. 2. 2 へたりの測定
試験は Fi g. 1 に示す方法でおこなった.はじめに,供試材を 決められた位置にセットし予備荷重 800g を載せ,ついで 3000g を載せた.その 3 分後に 3000g を除荷し,1分間放置した.予 備荷重を載せたときから,3000g を除荷する直前と,3000g を除 荷し1分間放置した後の変位を測定した.
3.
結果
型した木質小片ブロックについて,接着剤添加率が 10%の場合は すべての条件で成形することができなかった.
3. 1 はく離試験
成型したブロックの接着剤添加率とはく離強度の関係を Fi g. 2 に示す.
A2 30%と B1 30%,B3 30%,C1 30%,C3 30%の試験片について は,はく離試験ジグを取り付けることができず試験できなかっ た.
溶剤性ウレタン系接着剤を用いた場合,接着剤の塗布量が多 くなるにつれはく離強度が高くなっている,スギ樹皮の混合率 が少なくなるにつれはく離強度が高くなる傾向があることが分 かる.水性アクリル系接着剤や水性酢酸エマルジョン系接着剤 を用いた場合には,接着剤の塗布量やスギ樹皮とスギ小片の割 合とはく離強度の間に明確な関係は見られなかった.
3. 2 へたり性試験
スギ小片ブロックの接着剤添加率と圧縮強度の関係を Fi g. 3 に示す.接着剤の種類や塗布量,スギ樹皮とスギ小片の割合と へたりの間に明確な関係は見られなかった.
4.
まとめ
スギ小片を成形したブロックについて,以下のことが分かっ た.
1. 水性アクリル系接着剤や水性酢酸エマルジョン系接着剤で成 型した場合は塗付量が 10%の場合はブロックに成型すること ができなかった.
2. 溶剤性ウレタン系接着剤を用いた場合,接着剤の塗布量が多 くなるにつれはく離強度が高くなる傾向がある.水性アクリ ル系接着剤や水性酢酸エマルジョン系接着剤を用いた場合に はこの傾向はみられなかった.
3. へたり性について接着剤の種類や塗布量,スギ樹皮とスギ小 片の割合とへたりの間に明確な関係は見られなかった.
Fig.1
へたり測定の様子
0 20 40 60 80 100 120 140
はく
離強度
(
k
P
a
)
A1 50 A1 30 A2 50 A2 30 A3 50 A3 30 B1 50 B1 30
B2 50 B2 30 B3 50 B3 30 C1 50 C1 30 C2 50 C2 30
C3 50 C3 30 D1 50 D1 30 D2 50 D2 30 D3 50 D3 30
E1 50 E1 30 E2 50 E2 30 E3 50 E3 30 F 1 50 F 1 30
F 1 10 F 2 50 F2 30 F2 10 F 3 50 F 3 30 F 3 10
Fig.2
はく離試験の結果
Fig.3
へたり試験の結果
0 3 6 9 12 15
0 最大値 復元値
へたり
量
(
m
m
)